塩は必要です 塩を食べると高血圧になるという説があって、人々は塩を敬遠するようになっています。 しかし、それは大きな間違いです。塩は必要です。塩は大切なミネラル源です。 授乳中のお母さんが塩を十分に摂取したら、赤ちゃんのアトピーの状態が急速に改善されたという例がたくさんあります。赤ちゃんに、必要なミネラルが届くからです。 アフリカの象は、遠くの土地に塩の山があることを知っていて、定期的にそこまで旅をして塩を補給します。昔、海がなくて四方を敵に囲まれて領民が塩不足になった甲斐の武田信玄に、越後の上杉謙信が新潟の塩を送りました。それが、「敵に塩を送る」ということわざになりました。 動物は太古の海で生まれ、体内に海を持っています。人間の体液や血液の塩分の量は海水の3分の1の濃度ですが、組成は海水と似ています。人間が健康であるためには体内の海の状態を保つ必要があります。 ミネラルでは特にナトリウム(Na)とカリウム(K)のバランスが大切です。ナトリウムとカリウムは塩からとれます。カリウムは野菜にもたくさん含まれています。ですから野菜や果物を多く食べる人はカリウムが多くなりますから、塩を多めにとらねばなりません。よい塩梅(あんばい)ということです。 「塩が悪い」という説の間違い いくつかの根本的な間違い、勘違いがあります。 まず、血圧は低い方がよいというのは間違った考えです。血圧は必要です。適正な血圧がなければ、血液が体のあちこちや脳に届きません。ですから血圧をむやみに下げてはいけません。このあたりは「高血圧について」をお読みください。 つぎに、塩の摂取量と血圧との間にはほとんど関係がありません。かつて、塩をたくさん食べると血圧が上がるという「学説」がありましたが、それは今では否定されています。実験観察の方法や解釈が間違っていたのです。実験報告者もその間違いを認めています。実際に塩をたくさん食べても血圧は上がりませんし、逆に塩の摂取を制限しても血圧は下がりません。 現在でもなお、塩分の摂取量と血圧との間には関係があるという議論がありますが、そのグラフを見ると相関は必ずしも明らかではありません。 また、塩分摂取量というものは実は測定できていません。その代わりに塩分排泄量が測定されています(1日分の尿を溜めて測定)。ですから仮に関係があったとしても、それは「血圧と塩分排泄量とは関係がある」ということでしかありません。 塩分摂取量と塩分排泄量は、短期間では必ずしも一致せずズレがあるはずです。また、塩分摂取量は自分で決められますが、塩分排泄量は自分では決められません。人体の自律的な調整機能が働き、もしかしたら、血圧が上がると塩分の排泄量が増える、という逆の因果関係があるのかも知れません。 塩分の摂取量 塩分の摂取量は1日に10g以下が望ましいと言われていますが、その数値にはあまり根拠がありません。10gというのがどういう人を対象にしているのか、よく分かりません。 まず、体重が100キロの人と50キロの人とでは条件が倍半分も違うはずですが、そのことがまったく考慮されていません。 つぎに、肉体労働者などで汗をかく人は塩分が失われますから、たくさんの塩分が必要ですが、そのことも考慮されていません。 高血圧を治すにはウォーキングがいいと言われていますが、歩けば汗をかき塩分が失われます。それも考慮されていません。 季節でも、夏は水ばかり飲むと熱中症になりやすく、塩分をとることが必要だとされていますが、それも考慮されていません。 動物の肉には塩分があり、肉食の人は食事で塩分がとれます(だからライオンは塩を食べに旅をしたりしない)が、野菜や米が中心の食事ではカリウムが多く、ナトリウムが足りません。ですから日本人は西欧人より多く塩をとる必要がありますが、そのことも考慮されていません。 また総量として、体重60キロの人は、体の水分は約70%ですから42キロの水分があります。体液は生理食塩水などで分かるように約1%の塩分を含んでいますから、その人の体内には420gの塩分があります。500gの塩を袋で購入すると、ずいぶんずっしりとした感じがありますが、そんなに多くの塩分が体内にあるのです。全体で420gもあるのに、15gは取りすぎで10g以下ならいい、などとグラム単位で細かな勘定をするのはちょっと神経の使いすぎでしょう。 そもそも塩は少々とりすぎたとしても、おせんべいを三枚食べれば自然にのどが渇いて、水を飲んで尿がたくさん出て簡単に排泄され、体内にたまることがありません。体内の塩分濃度が正常に保たれるように人間の体は自律的に調整されるようになっています。 あまりに極端な量の摂取は塩分に限らず良くありませんが、ふつうに味噌汁を飲んだり、ごはんにノリの佃煮をつけて食べることを我慢しても、たいして得にはなりません。生活が味気なくなった上に、逆にミネラル不足になれば健康にも良くないのです。 自然の塩を摂取しましょう 日本では大蔵省が塩を専制的に管理し(専売公社)、彼らがコスト優先でNaClが99,99%の塩を作ってしまった不幸な時期がありました。今でもそれは食塩という名前で売られていますが、それは健康に良くない塩です。食塩(NaCl)ばかりをたくさんとることは体に良くありませんが、海の塩にはほかにもマグネシウムやカリウムやその他の微量金属が含まれていて、それらのバランスが動物の体にちょうどよいのです。 今はさまざまな天然塩が自由に販売されています。アトピーの赤ちゃんを持つお母さんは、そういう塩を十分に摂取しましょう。離乳後も、赤ちゃんが塩不足にならないように気をつけましょう・・・・・・・と言っても、味噌汁一杯ですむことですが。 |
逆参考資料 2010.03.20 読売新聞全面広告 (いちいち反論はしませんが大間違いです) |