高血圧について

血圧は必要です


血圧というと、とかく悪いことのように思われていますが、血圧は必要です。血圧が足りないと末端に血が届きません。



たとえばキリンの血圧はとても高くなっています。
それでなければ頭のてっぺんまで血が届きません。
むやみに下げればいいというものではありません。


人は年をとると、

1.血管壁が固くなる
2.血管に汚れがたまる
3.血液がドロっとする

などのため、血が末端まで届きにくくなります。
これは加齢現象ですから仕方ありません。

年をとって血圧が上がるのは健康な証拠

しかしそのまま血が届かなくなってしまうのではなく、血圧を上げるように自律神経が働いて血圧が上がります。

脳から循環系に「血圧を上げて血を送れ」という指令が出て、循環系がそれに応じて血圧を上げるのです。

ですから年を取ると血圧が上がるのは、むしろその人が健康であることの証拠です。心臓が弱い人は血圧を上げることが出来ません。



しかし、あまり血圧が上がりすぎると血管が破れます。
ですから血圧を下げなさいという指導になります。
では、どのくらいから高血圧というのでしょうか。
実は10年前に医者たちが高血圧の基準を変えました。
それまでは160mmHg以上が高血圧だったのですが、
2000年からは140mmHg以上が高血圧として治療の対象になりました。(下図)




さらに、2004年からは130mmHgを目標値とすることになり、40才以上の人の大半が高血圧となりました。その結果今、何千万人という日本国民が、毎日毎日、血圧降下剤をせっせと服用しています。65才以上の人のほぼ全員が、食事がすむとカバンからゴソゴソと何らかの薬を取り出して飲んでいます。

血圧降下剤の主作用

しかし血圧降下剤とは、脳から循環系への「血圧を上げて血を送れ」という指令を、途中でカットしたり、指令を実行できなくしたりするものです。そういう成分が入っています。緊急時には必要かも知れませんが、日常的に血圧降下剤を服用すれば、血のめぐりが悪くなって、脳に血が行きません。ですから別の影響が出てきます。

血圧降下剤の副作用

ある有名な血圧降下剤の医薬品添付文書には、以下のような副作用が書かれています。
脳梗塞、めまい、立ちくらみ、貧血、低血圧、倦怠感、不眠、肩凝り、眠気、しびれ、不整脈、心房細動、胸痛、頻脈、悪心、嘔吐、食欲不振、頻尿‥‥
筆頭に「脳梗塞」が起きるとあります。驚きますね。
でも、血液が流れにくくなっているから圧力を上げようとしているわけで、それを勝手に圧力を下げてしまえば詰まりやすくなるのは当然です。
高血圧で起きやすいのは脳溢血です。つまり脳の血管が破れるわけですが、脳梗塞は血管が詰まる病気ですから、脳溢血とは逆に低血圧で起こりやすくなるのです。

単に検査で基準値を超えていたというだけで、こんな薬を飲み続けてどうなるのでしょうか。

なぜ認知症がこんなに増えるのか

最近のニュースは、老人たちの多くが認知症になっていることを伝えています。どうしてこんなに増えているのでしょうか。単に高齢化のためでしょうか。
京都府立医大が最近、認知症の早期発見のツールを開発しました。それは思考中の脳の血流量を測定する道具で、たとえば「花の名前を5つあげてください」という質問に答えようとすると、脳の血流が増加し、それが測定できるのです。血流量が増加しない人は認知症の疑いがあるということです。
どのくらいの血圧で血管は破れるのか

血圧を下げる理由は、血管が破れるおそれがあるからです。では、どのくらいの血圧で血管は破れるのでしょうか。昔は脳溢血などで死んだり卒中になったりする人が多くいました(最近は脳梗塞など血管が破れるのではなく血液が詰まる血栓症の方が多くなっています)。昔は栄養状態も悪く、冷蔵庫がなくて塩漬けの食物が多く、日常の労働も過酷だったので、血管がもろくなっていた人が多く、そもそも平均寿命も60才くらいでした。しかしそれにしても血管が破れるのは200mmHgを超えるような血圧だったろうと思われます。

適正血圧とは

10年ほど前まで、適正血圧は「年齢 + 90」だと多くの人が知っていました。すなわち

50才   50+90 =140mmHg
60才   60+90 =150mmHg
70才   70+90 =160mmHg
80才   80+90 =170mmHg
90才   90+90 =180mmHg

ここには、血圧は年齢とともに上がって当然だという合理的な考えがあります。

しかし、この10年来の140mmHg以上は高血圧だから下げなさいという指導で、このことはすっかり忘れられてしまいました。

この考えの正しさをはっきりと示すデータがあります。右は80才の人の5年後生存率を血圧別に表したグラフです。
現在の治療の目標である121mmHgから140mmHgのところが生存率が最も低くなっています。
逆に血圧が170mmHgとか180mmHgとかくらいあった方が長生きしています。
実際、お年寄りはそのくらいの血圧があった方が元気で活動的です。
このデータはまた、180mmHgくらいの血圧では血管は破れないという証拠でもあります。

健康食品ならいい、ということはない

「かつおペプチド」とか「胡麻麦ペプチド」などが血圧を下げる健康食品としてさかんに売られています。天然なので安全というふれこみですが、作用は血圧降下剤と同じで、脳からの指令をブロックして血圧を下げます。

そのこと自体が不合理なのです。

それに天然ものと言っても、天然のかつおや胡麻にはそれらのペプチドは存在していません。
メーカーのホームページにそう書いてあります。天然のかつおや胡麻には、かつおペプチドも胡麻ペプチドも一切含まれておらず、かつおペプチドはかつおブシを原料に、胡麻ペプチドは胡麻を原料にして、いずれも、メーカーが化学合成したものだと書いてあります。

水飲み健康法

「健康のために水を飲もう推進委員会」という委員会があります。厚生労働省が後援しています。
水飲み健康法は別に難しいことではなく、目覚めの1杯、寝る前の1杯と、こまめに水分を補給しましょうというものです。水飲み健康法は、年をとって血圧が上がる理由である、
  1.血管壁が固くなる、
  2.血管に汚れがたまる、
  3.血液がドロっとする 
などを解消してくれます。

血圧が上がる理由を解消することは、血圧を正常にするための正しい方法です。

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