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第2章 アトピー性皮ふ炎の外因

2−1 アトピー・スモン・水俣

かつて水俣病やスモン病、あるいはイタイイタイ病になどついて、医者たちは、体質のせいだ、遺伝の家系だ、などと言って「本人の落ち度」を指摘したことがあります。村人からは、信心が足らない、先祖の供養が足らないなどと中傷されたり、あるいは、伝染病だと村八分にされたりしたこともあるようです。しかし幸いなことに、これらの病気は発生が急激であったために、本人に落ち度は無いのではないかという慎重さが働きました。そして、熊本大学医学部の医師の献身によって、水俣病の原因はチッソ(株)の工場排水中の水銀 <Hg> であると特定され、スモン病は、新潟水俣病と闘った経験をもつ新潟大学の医師によって、整腸薬キノホルムが原因であることが分かり、その後の研究で、キノホルムが体内の必須ミネラルである、銅 <Cu> を過剰に流失させることで生じることが分かりました。富山県の神通川流域で発生していたイタイイタイ病は、富山市の開業医荻野氏の、行政や大企業の圧力や妨害、学会の嘲笑にも屈しない闘志と献身によって、三井金属神岡鉱業所の鉱石残滓置場から、カドミウム <Cd> が神通川に流出することによって起こっていることが突き止められたのです。

一方、アトピー性皮ふ炎の場合はそれほど急激な増加ではなく、70年にわたって徐々に増えてきています。それは、医者たちの職業としての1世代を越えるほどの長い時間ですから、第1章で示したように、いまだに「体質だ」、「遺伝だ」、「特定の家系だ」と、本人の側に問題があるという主張が、学会の主流を占めています。
しかし、70年という歳月は人類の歴史から見れば一瞬のことであって、アトピー性皮ふ炎の急増ぶりも水俣病やスモン病の場合と違いはありません。この急増ぶり自体が、アトピー性皮ふ炎もまた、水俣病やスモン病と同じように、何か社会の人工物質によって引き起こされていることを強く示唆していると言えます。
アトピー性皮ふ炎の時間的、地域的な広がりを見れば、アトピー性皮ふ炎を誘発する外因となっている物質は、この70年のうちに、日本全土および世界の各地で日常的に使われるようになったものでしょう。
スモン病や水俣病、イタイイタイ病の原因は、病気の発生を社会現象として「広角レンズ」でとらえることで明らかになりました。アトピー性皮ふ炎の場合も、木を見て森をず、ということではなかなか真相をつかむことは出来ません。顕微鏡を覗き込むのはほどほどにして、全体の状況を広角レンズで眺めることが必要です。

2−2 外因追求のための条件

この種の社会的広がりを持つ事柄には、企業や行政や学界など、いろいろな社会的利害がからんでいます。ですから、「人工的にアトピー性皮ふ炎を作り出しました」という動物実験では、万人の納得を得ることはできません。
原因の追求は、論理の積み上げと疫学的手法で行うのが合理的です。原因と思われるものを論理的にしぼり込み、それを排除した場合のアトピー性皮ふ炎の発生率の変動を見るのです。原因追求を論理的に進めるためには、原理原則をしっかり立てておくことが必要です。以下のように、合理的と思われる7つの条件(フィルター)を適用します。
●印をつけた、1から4までの条件は絶対的な必須条件であり、無印の5、6,7の条件は、それらの条件を満たす方が原因として確かだという、確認のための条件です。

原因追求の7条件

    ●条件1.原因はアトピー性皮ふ炎の人全員に共通 (共通性)
    ●条件2.原因は発症の最初期に存在する     (原初性)
    ●条件3.原因は現代社会に特徴的なもの     (現代性)
    ●条件4.原因は 1933 年には存在していた    (歴史性)
     条件5.原因は皮ふへの直接的な刺激である   (直接性)
     条件6.原因は日本で特に多用されているもの  (地域性)
     条件7.原因はそれを除去すれば改善効果がある(除去効果)

条件1.原因はアトピー性皮ふ炎の人全員に共通 (共通性)

ある一つの疾病の原因は、その疾病にかかっている人たちの全員に共通であろうとは当たり前のことで、いまさら言うまでもないことのように思えます。ところが、医者たちはそうは考えません。アトピー性皮ふ炎の原因は人によって違うと考えられていて、この子は家ダニ、あの子はタマゴ、同じ人でも長ずるに従って原因は変わる、と考えられています。原因は全員に共通のはずだ、などといえば、シロウトが何を言うかと叱られるのです。しかしこれは論理的におかしな話です。いろいろあるにせよ原因が分かっているなら、タマゴ皮ふ炎とか、家ダニ皮ふ炎とか、原因ごとに分類すればよいことだからです。
本当は、アトピー性皮ふ炎の原因は「不明」なのであって、「分からない」ということと「いろいろある」ということとは天と地ほど違うことです。

結局、タマゴだ、牛乳だ、家ダニだ、などという説はすべて、原因を論じているのではなく、すでに生じているアトピー性皮ふ炎を悪化させる要因、すなわち「悪化要因」を論じているのです。悪化要因は、タマゴや牛乳ばかりでなく、いろいろあるでしょう。親の離婚、受験、就職などのストレス、化粧品などの化学物質、日光、じんましん、虫さされなどです。
悪化要因のうちのどれかが、アトピー性皮ふ炎の真の原因となっており、それは全員に共通のはずです。
原因はいろいろだ、という考えの根底には「アトピー体質論」があります。根本的には体質であり、その体質に何らかの物質が作用してアトピー性皮ふ炎が発症する、という考え方です。体質こそが原因であり、それは常識だからいちいち言うまでもないことで、その先の悪化要因を「原因」と呼んで差し支えない、というのが医者たちの暗黙の合意事項のようです。しかしそれは、ジョーカーを片手にポーカーをやっているようなもので、ジョーカーと対にしてワンペアーだと言うわけですから、引いてきたカードはどれでも「原因」に仕立て上げられるのです。
現代社会に急激に発生し、どの人も同じような症状を示す「アトピー性皮ふ炎」は、独立した単一の事象です。したがって原因もまた、他の疾患から独立して、かつ全員に共通したものでなければなりません。

条件2.原因は発症の最初期に存在する (原初性)

これは当然のことで、アトピー性皮ふ炎が発症した最初期において、原因はすでに存在していなければなりません。そして条件1により、原因は全員に共通ですから、発症の最初期において原因を解明できれば、それがアトピー性皮ふ炎の全体の真相となります。では、アトピー性皮ふ炎はいつ発生するのでしょうか。好都合なことに多くの統計が、アトピー性皮ふ炎が生後まもなく発生することを明らかにしています。たとえば、国立小児病院の211の症例では、その41%が生後2ヶ月以内に、70%以上が生後6ヶ月以内に発症しています(小児アレルギー学会誌 V.5-1 P.1 1991 国立小児病院 飯倉洋治)。その中には母乳だけで育っている子もいるでしょう。ですから設問は理想的に単純化されています。「母乳しか飲まない赤ん坊が、なぜアトピー性皮ふ炎になるのか」これが解くべき課題のエッセンスになります。






生後2ヶ月の、母乳で育つ乳児にとっての環境とは、「水か空気か母親か」というほどのシンプルなものであり、ここにアトピー性皮ふ炎の真相が潜んでいます。ここを説明できるかどうかがあらゆる「原因論」の試金石であり、ここを説明できない原因論はすべて誤りです。
たとえば、多くの小児科医が「アトピーは食物アレルギーである」と考え、除去食を指導しています。そしてその考えを延長して、母乳しか飲まない赤ん坊のアトピー性皮ふ炎は、母乳に含まれる物質に対するアレルギー反応として起こっていると考え、母親の食事指導などをしています。しかし前章で見たように、アトピー性皮ふ炎の発症の最初期には、検査をしてもアレルギーは見つからないという事実があるわけですから、母乳に対するアレルギー反応でアトピー性皮ふ炎が起きているという考えは成立しません。
あるいは最近、「文明化によって体内に寄生虫がいなくなったのでアトピーになる」と言う寄生虫学者がいて、マスコミなどでさかんに取り上げられています。しかし、母乳しか飲まない乳児の体内に、そうそう寄生虫が住みつくものではないことは江戸時代の昔から変わらぬことです。昔も今も、乳児の胃腸の中には寄生虫などいませんから、こんな奇妙な論理で、なぜ最近になって乳児にアトピー性皮ふ炎が増えてきたのかを説明できるものではありません。原因論の試金石である、「アトピー発症の最初期」を説明できない、明らかに間違った議論ですから、赤ちゃんに寄生虫の卵を飲ませればアトピーが予防できるなどと早合点してはいけません。

条件3.原因は現代社会に特徴的なもの (現代性)

アトピー性皮ふ炎は現代に特徴的で、かつ近年増加傾向にあります。ですから原因は現代の物質で、このところ増加傾向にあるものでしょう。ところが、2千年も前の歴史家が簡単な記述を残していることだけを根拠にして、

アトピーの歴史は古くて、ローマ皇帝アウグスツが、いまのアトピー性皮ふ炎とぜんそくと鼻炎とに悩まされていたことが記録に残っております。
(毎日新聞 1993.3.30 東海大学皮ふ科 元日本皮膚科学会長 大城戸宗男氏)


として、アトピー性皮ふ炎の現代性は、学界の権威によってあっさりと否定されています。しかしその出典は、

皇帝アウグスチヌスの身体は、皮ふの痒みと激しい掻破により引き起こされた多くの固くて乾いた局面により損なわれていた。また彼は、早春には横隔膜が固くなり、サハラの熱風が吹くときはカタル(鼻炎)が起こるという季節的な病気をもっていた。
(山元真理子 山元医院 「アトピー性皮ふ炎」朝日新聞社 1991)


というだけのものです。これをもって、アトピー性皮ふ炎は2000年前からあったと断定するのは非科学的です。ジョークのつもりかも知れませんが、「クリオはとにかく詰まるんだ、反対するヤツは研究者生命がなくなるぞ」という徒弟制度のもとでは、権威者たちの気軽なジョークもボディブローのように効いて、弟子たちに「体質論」を信じ込ませる結果となり、しかもそれは結局、「医薬学」業界の利益につながっています。自分たちの利益を計るために、意図的に大衆に向けて発せられる虚偽の情報をデマゴギーと言い、それを発する人をデマゴーグと言います。もちろん大城戸氏にそのような悪意はないでしょうから、氏はデマゴーグではありません。おそらく氏もまた、大きなデマゴギーに乗せられているのです。しかし、「アトピーの現代性」を、さしたる根拠もないまま否定するという行為が、医者としていかに軽挙であったかは、アトピーの真相が解明されたときに明らかになるでしょう。

19世紀末フランスの皮ふ科医ベニエ先生は、乳児期に湿疹が生じ、年長になるにつれて皮ふがザラザラして厚くなる傾向を示す慢性の皮ふ疾患を記載しています。
(山元真理子 山元医院「アトピー性皮ふ炎」朝日新聞社 1991 前出 )


これが、考慮すべきもっとも古い記録のようです。続いて1923年に、アメリカのクック氏とコカ氏が「アトピー」の概念を提唱し、1933年にアメリカのザルツバーガー氏らの提案で、この皮ふ炎は「アトピー性皮ふ炎」と命名されました。これらのことから、アトピー性皮ふ炎の発生は、19世紀から20世紀へ変わるぐらいの頃と考えるのが妥当なようです。
20世紀になって人類が利用するようになった物質はたくさんあります。それらの物質のうちのどれかが、アトピー性皮ふ炎を引き起こす外因となっています。一方、2000年前に救いの御子がお生まれになった馬小屋は、ダニだらけだったに違いなく、そういうものは現代に特徴的なものとは言えません。ダニや食物など、自然界に自然に存在しているもので、アトピー性皮ふ炎のこの急激な広がりを説明することはできません。アトピー性皮ふ炎の原因は現代の物質、すなわち人工の化学物質です。

条件4.原因は 1933 年には存在していた (歴史性)

原因は現代社会に特徴的なものだとは言っても、あまりに新しいものは除外されます。この「奇妙な皮ふ炎」が発見され、それがアトピー性皮ふ炎と命名された、1933年という時点において、社会に存在していなかったものは、アトピー性皮ふ炎の原因とはなり得ません。本格的な石油化学工業の発達や、自動車時代の到来は、欧米では1930年代の後半から、日本ではようやく戦後の、1960年代の高度成長期からです。ですから、漠然と現代の化学物質を列挙してみても、たいていのものは原理的に原因ではあり得ないのです。
このことは、アトピー性皮ふ炎についてさまざまに論じている人々の、意外な盲点になっています。彼らは、アトピー性皮ふ炎の原因は人によっていろいろある、という固定観念をもっていますから、デイーゼル排気だ、農薬だ、食品添加物だ、新建材だ、と次々に数え上げて、たくさん思いつくほど真相に近づくことができ、たくさん思いつくほど、世のため、人のためになると信じているようです。しかしそうではありません。真相を知るには原理原則を守らねばなりません。1933年にこの世に存在しなかったものは、1933年に認知された疾病の原因には「なれない」のです。ダイオキシン説などもかなり魅力的ですが、これも歴史の問題として原理的に排除されてしまいます。
ただしこれは、これらの物質が、現代のアトピー性皮ふ炎とまったく無関係だということではありません。これらの物質は、化学物質過敏症と呼ばれる症状を目や呼吸器や皮ふや神経に引き起こし、アトピー性皮ふ炎を悪化させる要因となります。また、現代日本では、1933年に認知された本来の「アトピー性皮ふ炎」とは別の化学物質皮ふ炎がたくさんあって、それらがアトピー性皮ふ炎と診断されている、という現実があります。「それは医者の誤診である」と突っぱねるのは教条主義というもので、それでは現実の問題は解決できません。それらの新しい皮ふ炎については、この1933年条項をはずして考えるのが、わが国においては現実的でしょう。


    炎症がよく生じる部位

条件5.原因は皮ふへの直接的な刺激である
    (直接性)

この条件は必須条件ではありませんが、アトピー性皮ふ炎は皮ふに起こる症状ですから、原因は、まずは皮ふに対する直接的な刺激から探していくのが自然でしょう。
右図のように、炎症が、顔や、ヒジやヒザの内側など、よくこすったりこすれたりする部位や、汗のたまる部位に多く現れることもまた、原因が「じんましん」などの内部的なアレルギーではなく、皮ふへの直接刺激であることを示唆しています。



条件6.原因は日本で特に多用されているもの (地域性)

米国の著名な自然医学者であるアンドルー・ワイル氏は、次のように述べています。

日本を旅行していると、アトピー性皮ふ炎の異常な出現率に驚かされる。日本の乳幼児達の約半数が多かれ少なかれその症状を呈し、青少年における症状の程度もアメリカのそれよりはるかに深刻である。現代医学の治療はステロイド剤で皮ふ炎の症状をおさえるだけという粗末なもので、治癒は期待できず、患者はステロイド依存になって、ありとあらゆる副作用をこうむっている。日本にアトピー性皮ふ炎が増えたのは最近のことである。何が日本人を変えたのか? 遺伝ではない。過去50年間に日本人の遺伝形質が大きく変化したという裏づけはない。(アンドルー・ワイル 「癒す心、治る力」角川書店 1995)


ワイル氏は、日本にアトピー性皮ふ炎が異常なほど多いこと、それは遺伝では説明できないこと、ステロイド依存のお粗末な「治療もどき」しか実施されていないこと、患者はステロイドの薬害にさらされていること、を指摘しています。
あるいはまた、1994年4月、福岡市の日本皮膚科学会総会で、「アトピー性皮ふ炎市民公開講座」が開かれ、パネリストの1人に、米国オレゴン大学医学部のハニフィン氏が登壇しました。氏は、市民講座にあふれるほどの市民と報道陣が参集したことに驚き、「米国でアトピーの会合がこれほどの関心を集めることはない」と発言しました。これもまた、重要な指摘です。
氏は、「ハニフィン=ライカの基準」として世界的に引用される、アトピー性皮ふ炎の診断基準を作った人です。その人が、「アトピー性皮ふ炎は日本において特に深刻だ」、と礼儀正しく指摘したのです。これは、司会の皮ふ科医の「どうですハニフィン博士、すごいもんでしょう」という得意げな問いかけにうながされて、ようやく発言されたものでしたが、この指摘に対し、壇上に居並ぶ日本の皮ふ科医たちは、ただ満足そうにニコニコするばかりで、この深刻な状況の責任の一端が自分たちにあるかも知れないなどとは、考えてみたこともない面もちでした。それから3年、皮ふ科医たちも、現在のわが国の状況が世界に類のないものであることは、認めるようになりました。

本邦では、世界に類のないアトピー性皮ふ炎患者の急増をみている。
(田上八郎 東北大学皮ふ科 メディチーナ V.34 No.2 P.199 1997)

さらに、興味深い事実が報告されています。沖縄県の11,392人の小学生を調査したところ、1411人、12.4%にアトピー性皮ふ炎が見られ、現地の養護教諭などの記憶では、本土復帰前には沖縄にアトピー性皮ふ炎など無かった、という証言から判断して、

沖縄県においては本土復帰(1972年)前後からアトピー性皮ふ炎が増加し始め、いまも増加しており、
これは沖縄県の「本土化」と並行している。
(中岡嘉子ほか 済生会川口看護専門学校 小児アレルギー学会誌 V8-2 P73-80 1994)

としています。中岡氏はここで、本土化の内容を住宅問題や学校問題として考察していますが、施政権の返還でもっとも大きな変化は、アメリカの法律に代わって日本の法律が沖縄に適用されたということですから、このことで、沖縄に日本特有の問題が生じたのではないか、と、まずそこから考えるほうがよいでしょう。さらに平成4年(1992)の厚生省の調査があります。世界中でアトピー性皮ふ炎の大々的な疫学的調査に乗り出した政府は、日本政府以外にありません。このようなことから、アトピー性皮ふ炎が世界的に見て日本で突出して増えていることは間違いのないところで、そこには日本が抱える特殊な条件があるはずです。

条件7.原因はそれを除去すれば改善効果がある (除去効果)

「あるものを除去したら、アトピー性皮ふ炎の症状が改善された」としても、それだけでそのものをアトピー性皮ふ炎の「原因」と決めることはできません。それは悪化要因です。そしてそれらの悪化要因のうちのどれかが、アトピー性皮ふ炎の真の原因です。悪化要因は 人により、時により、違うことがありますから、たとえばタマゴを食べないようにしたり、ダニを駆除したりすることで、アトピー性皮ふ炎が良くなる人もいれば、改善されない人もいます。
これに対し、条件1によって、原因は全員に共通ですから、原因を除去した効果は全員に現れるはずです。これは、原因を除去すればアトピー性皮ふ炎が完治するということではありません。たとえば、熱いフライパンにさわって手をヤケドをしたときは、すぐに手を離します。それでヤケドが治るわけではありませんが、フライパンにさわったままではヤケドは治りません。フライパンから手を離せば、少なくともヤケドの進行は止まります。これが除去効果であり、その効果は全員に現れるはずです。

2−3 外因候補の比較

以上の7つの条件に照らして、世上、アトピー性皮ふ炎の原因(悪化要因)として挙げられているものを評価してみましょう。各項目について「 YES 2点」「× NO 0点」「 不明 1点」で評価しました。

外因候補の比較表

外因候補



















寄生虫の不在

×

×

×

×

×

×

×

0点

母乳

×

×

×

×

?

5点

粉ミルク

×

×

×

?

7点

食物アレルギー

?

×

×

×

×

?

4点

食品添加物

?

?

×

×

?

?

6点

大気汚染

?

?

×

×

×

?

5点

ダイオキシン

?

?

×

×

?

?

6点

家ダニ

?

?

×

×

?

7点

精神ストレス

×

×

?

×

×

?

4点

合成界面活性剤

×

?

11点

浴用水の塩素

14点


「浴用水道水の塩素」は、従来、アトピー性皮ふ炎の原因とは考えられていませんでした。筆者の考えで付け加えたものです。しかしこれは、7つの条件をすべてみたします。

現代人はすべて 共通性
産湯の時から水道水の塩素を浴び 原初性
それは現代の化学物質で 現代性
しかも水道水の塩素消毒は、アトピーという疾患が世界的に認知された
1933年には、欧米で一般的に行われていました。
歴史性
また、塩素が皮ふに対する刺激物であることはプールなどの体験で明らかであり、 直接性
日本の水道水の塩素濃度は世界最大で、日本人ほど風呂好きの民族はいません 地域性
そして塩素を除去した効果は、浴用水やシャワー水から塩素を 除去したり、
井戸水に代えたりすることで症状が軽快することや、温泉療法 が成功して
いることなどで明らかになってきています。
除去効果

その他の多くの化学物質は、アトピー性皮ふ炎が認知された時より後の時代に登場してきたものですから、原理的にアトピー性皮ふ炎の原因ではありません。しかしそれらは、化学物質過敏症を引き起こし、アトピー性皮ふ炎の悪化要因になっています。
また一方、最近は多くの皮ふ炎に、安易にステロイド外用薬が処方されています。その結果、それらの皮ふ炎はステロイドの後遺症である「ステロイド皮ふ症」へと悪化し、あちこちの皮ふ科を渡り歩いたあげくに、結局どこかで、「あなたは体質に基づくアトピー性皮ふ炎です」、と診断されることが多々あるようです。あるいはごく単純に、原因探しがまともに行われずに、安直に「アトピー性皮ふ炎」という診断名がつけられることもあるようです。ですから、現代の日本で「アトピー性皮ふ炎」と呼ばれるものの中には、ほんとうは原因別にきちんと分類されるべき皮ふ炎が、雑多に詰め込まれています。その現実に合わせるという意味では、1933年条項という全く当然の原理原則も、わが国においてはあまり実用的ではないかも知れません。そしてその条項をはずすと、もっとも広範に人々の皮ふを損傷させている化学物質は、合成洗剤やシャンプーや歯磨き粉などに含まれる「合成界面活性剤」です。

2−4 浴用水道水の塩素

水道水の塩素刺激

現代ではほとんどの人が、生まれたときから水道水を沸かして入浴しており、そこには皮ふに刺激性のある「塩素」が投入されています。
塩素はナトリウムと化合して塩化ナトリウム(食塩)になっていたり、マグネシウムと化合して塩化マグネシウム(にがり)になっていたり、プラスチックに加工されて塩化ビニールになっていたり、ごくありふれた物質で、そういう形で存在している分にはそれほど危険でもなく、海の中には塩がたくさんあって塩素だらけです。しかし塩素は、人間の操作によって酸素1個と結合させられて、次亜塩素酸という形になると、活性がきわめて強くなってタンパク質やビタミンCなどと強く反応し、相手を破壊するようになります。これは、酸素が加ったことによる「活性酸素」の働きの一種で、この働きによって単細胞生物(細菌)などはたちまち死んでしまいますから、水道水の消毒にこれを用いますし、シャツの黄ばみ(タンパク質)を溶かして漂白したりします。塩素ガスは、目や呼吸器に入ってそこの水分と反応して次亜塩素酸となり、細胞を傷つけますから毒ガス兵器として使われ、兵士を失明させ、窒息させ、皮ふをびらんさせます。カルキ(次亜塩素酸)の入ったプールに入ると、皮ふがカサカサになって痒くなり、目が真っ赤になります。塩素が皮ふや目の細胞を損傷させるからです。水道水に金魚を入れると死ぬのは、塩素がエラの細胞を破壊するからです。野菜を水道水で洗うと、ビタミンCが破壊されます。

健康な毛髪の表面

塩素で損傷された毛髪の表面

芝生や庭木に水道水をかけ続けると、塩素枯れを起こしますから、ゴルフ場などでは芝生に水道水をそのまま撒くことはありません。

無毛ラットの実験

右の写真は、上が健康な髪の毛の表面で、下は2ppmの塩素水に1日さらした髪の毛の表面です。キューティクルがひどく損傷しています。塩素がタンパク質を壊したのです。
また、筆者は無毛ラットの皮ふに塩素入りの水を刷毛で塗る実験をしてみました。ちょっと濃すぎたかも知れませんが、1%(1万PPM)の塩素水を塗ったところ、見る間に赤く腫れ上がりました。それが右の写真の、上のラットです。下は天然の水を塗ったラットで、変化は起きていません。この実験によって、塩素が実際に皮ふに炎症を起こす力を持っていることが確認されました。











浴用の水道水に含まれる塩素の危険性については、欧米では早くから警告されています。

シャワーから、塩素を除去するフィルターを購入することを考えなさい。湯に含まれる化学物質の20〜90%は、入浴中やシャワー中に皮ふを通して、また湯気を吸い込むことで体内に吸収されています。
(ドリス・J・ラップ NY州立大学小児科 「Is this your child?」1991)


塩素ガスは熱い湯に溶けにくく、空気中に拡散される。シャワーや入浴中に塩素の臭いを感じるのは、塩素がガスとなって浴室に充満するからである。希釈された塩素溶液を身体全体に浴びると、塩素が皮脂と反応して塩素化合物を作り、それが身体に吸収される。塩素の酸化力のために、連続的に塩素処理水につかることは、老化を促進する。太陽に長くさらされることと全く違わない。(F.アッシュトン 豪州食品リサーチ研究主任 「水道水の塩素処理100年/知られざるシャワーの害」 1989)


シャワーの塩素は、湯の高温のために一度空気中に拡散されて、閉めきった浴室内で濃縮されます。お湯は出てゆく塩素は残るというわけで、シャワーを使うほど室内の塩素濃度は上昇します。そしてその塩素は、冷えてきたところで身体に付着し、皮ふと反応します。ですからシャワーの塩素は、浴槽の塩素よりもむしろ危険なのです。

世界最大の塩素を投入した日本

水道に塩素が使われた最初は、19世紀末、イギリスのミッドストーンにおいてであり、それから水道水の塩素消毒が欧米で普及しました。ですから、先述した「ベニエ痒疹」も水道水の塩素で説明できる可能性があります。
日本では戦前はあまり塩素を入れていませんでした。戦後、アメリカ軍が日本を戦地と同様の野蛮な土地と考えて、占領軍の安全のために「野戦基準」の塩素投入を強制したのです。
それは浄水場で2





PPMという濃度で、当時一般的だった濃度の10倍でした。しかしその後、右の図で分かるように、河川の汚染が進むにつれて、塩素の投入量はどんどん増えてきました。これは日本の水道法が、「塩素は家庭の蛇口で0.1 PPM以上残っていること」と、下限を定めるだけで上限を設けていないためです。これは今となっては不用意な条文ですが、法の精神は、0.1 PPM以下では細菌繁殖のリスクが残りますよ、だから予算をケチらずに、蛇口で0.1PPMを確保できるようにしなさい、ということであって、0.1 PPM以上ならどれだけ投入してもよいということでは、もちろんありません。しかるに当局は、河川や湖沼の汚染が進むにつれて、「条文に従って」塩素をどんどん投入してきたのです。この塩素投入量のデータは、東京都がうっかり公表してしまったもののようで、その後、当局は数値を出さなくなり、公的なデータは見あたりません。塩素試薬を持って駅やビルや民家の水道水を調べるという、民間のゲリラ的な蛇口調査(学習研究社「今、水が危ない」1992)では、蛇口塩素濃度は、東京の1.5 PPMを筆頭に、全国軒並みに1 PPM以上となっていました。これは規定の10倍から20倍で、プールの基準値(0.4 PPM以上)よりも濃く、さかのぼって浄水場では相当の塩素が投入されていることを示しています。

長く東京都の水道局に勤めた小島貞男さんの話では、世界で水道水の処理のためにもっとも大量の塩素を投入したのは、東京の玉川浄水場だそうである。小島さんが玉川にいた頃、100 PPM の塩素を投入したと話している。東京都の資料では、最高の時は塩素を150 PPM という記録があるから、間違いなく世界一であろう。
(中西準子 東大環境安全研究センター 「水の環境戦略」岩波新書 1994)


欧米から日本に来る筆者の友人達は、一様に、レストランなどで出される水はカルキ臭くて飲めないと言います。欧米人には、レストランで水道水が出されること自体が奇異なのですが、これは、日本の水道水はおいしい、という前提で行われてきた日本の習慣でした。しかし、それも今は昔です。また、シャワー浄水器のメーカーの話では、YMCAからたくさん注文が来るそうです。外国からの留学生が日本でシャワーを浴びると、たちまち身体じゅう痒くなるからだそうです。
塩素濃度に上限なし、とは日本だけのことです。戦後アメリカ軍が塩素投入を強制したとはいえ、そのアメリカにも塩素投入量には上限があり、州によって差はありますが、残留塩素濃度は0.1 PPM以上、0.5 PPM以下くらいが標準となっています。先述した、本土復帰後の沖縄でのアトピー性皮ふ炎の増加という現象は、まさに沖縄が「本土化」してきた結果であり、その背景には、沖縄に日本の法令が適用され、塩素投入量のタガがはずされたことがあるでしょう。沖縄においても、施政権返還後の20年間の経済成長にともない、水洗トイレ、家風呂、クーラー、乗用車などが普及し、水道水の需要が急増しました。もともと離島に降る雨の量は十分ではありませんし、天然、人造ともに貯水能力は限られています。そのような土地で水道水の需要が急増すれば、それまで利用していなかった低質の水源も利用せざるを得ず、その一方で塩素投入量の上限がはずされたのですから、何が起こったかは想像に難くありません。
わが国における「塩素の大量投入」にはたかだか50年の歴史しかなく、この間、塩素を大量に含んだ水での入浴が、万人にとって安全であると確認されたことは一度もありません。また、塩素濃度が高くなっただけでなく、入浴回数が増え、シャワーの利用が増え、強力な合成洗剤で皮脂をこそぎ落とす、という生活様式の変化が重なり、日本人の皮ふは、ひと昔前に比べて20倍も30倍も多く塩素にさらされるようになってきています。

生まれたばかりの赤ん坊は、目もよく見えませんし、呼吸もしたことはありません。これらのことを、赤ん坊は少しずつ学習します。皮ふ細胞も同じように、自分の果たすべき役割を学習してゆきます。ところが、生まれて初めて触れる水である「日本の産湯」には、あろうことか、塩素という毒物が世界最大量まで投入されています。これは、人類の歴史において、赤ん坊の学習プログラムには想定されていない事態ですから、赤ん坊の皮ふに混乱が起きるのはむしろ当然で、その混乱はやがて、炎症とか痒みという形で出現してくるのです。生後どのくらいのうちに、どのくらいの割合の子が炎症を起こすかは、塩素濃度や塩素に触れる頻度に関係しています。塩素があるからといって、赤ん坊の全員が皮ふ炎を起こすわけではありません。乳児の3割がアトピー性皮ふ炎になっているという厚生省の調査結果は、浴用水に1ppmほどの塩素が残留していたら何が起こるか、という社会的実験の結果であるようです。

2−6 アレルギー・マーチと塩素

「皮ふ」と「気管支」と「鼻粘膜」

アトピー性皮ふ炎/小児ぜんそく/アレルギー性鼻炎 の3疾患は、同じ子に順々に発症してくることがあるので、ひとつの系統をなす同類の疾病と考えられています。

乳児期にアトピー性皮ふ炎で始まり、次にぜんそく、そしてアレルギー性鼻炎という順序で起こることが多いのです。これがアレルギー・マーチです。
(斉藤洋三 東京医科歯科大 耳鼻咽喉科 「アトピー」有斐閣 1990)


厚生省の調査委員会も皮膚科学会も、この3疾患をアトピー素因の構成要素としています。もしこの分類が正しいならば、小児ぜんそくとアレルギー性鼻炎もまた、アトピー性皮ふ炎と同じ原因物質で説明できるはずです。そして逆に、ある1つの要因でこれらの3疾患をうまく説明することができれば、それが「アトピー性疾患」と呼ばれている一群の疾患の、基底をなす原因物質である可能性が高いことになります。
では、皮ふ/気管支/鼻粘膜という3つの器官に、何か共通性はあるでしょうか。それはあります。皮ふも気管支も鼻粘膜も身体の表面で、外界に接しており、刺激物が体内にはいることを阻止する機能を持つ器官だということです。

右図のように、人体には内表面と外表面とがあり、皮ふは外表面ですが、呼吸器系と消化器系は内表面を形成して、いずれも外界とつながっています。赤ん坊を浴室に入れて、塩素入りの湯に浸しますと、入浴中も呼吸をしますから、飛散した塩素は鼻やのどを通って気管支や肺に吸入されます。(消化器系に関しては、湯を飲むことはまれですし、胃は胃酸に覆われた強い表面を持っていますから、微弱な刺激は問題にならないでしょう)
呼吸法を学び始めたばかりの赤ん坊にとって、これは思いがけない刺激です。ごく微量の化学物質が、生命体に対して強烈な影響をもつことは、1995年3月の地下鉄サリン事件で改めて誰の目にも明らかになっています。毎日の入浴で気管支に吸入され続けた塩素は、やがて気管支の表皮細胞を傷つけ、気管支の反応プログラムを攪乱し、結局、さまざまな刺激に対する過剰反応を誘発するようになるでしょう。
アレルギー性鼻炎も、同じように塩素で説明できそうです。皮ふや気管支よりも発症が遅くなるのは、鼻粘膜の機能そのものが、皮ふや気管支に遅れて完成するからかも知れません。鼻粘膜の機能が出来上がり、鼻汁が出るようになるまでは、鼻炎になったかどうか分からないのでしょう。青っ洟をたらす子がいなくなり、どの子もティッシュペーパーを持って鼻をクシュクシュさせている、という現代日本の不思議な光景の背後には、人為的で広範な事情があるようです。

離島における小児ぜんそくの増加

さて一方、小児ぜんそくは世界的に増加していますが、その原因はどうも従来考えられていたような大気汚染とは言えない、というデータが集積されています。

北九州市内の小学生のぜんそく罹患率は、1969年に3.0%だった。しかし 12年後の1981年には7.9%と2倍以上の増加が見られる。大気汚染は明らかに改善されているにもかかわらず、学童のぜんそく罹患率が2倍以上にまで増加していることは、大気の汚染がぜんそくの罹患率を上げているとは短絡的には考えがたいことを示している。(古庄巻史 小倉記念病院小児科ほか 「ぜんそくはなぜ増えているのか」国際医学出版 1987)


1960年代の北九州市と言えば、製鉄所や石炭火力発電所が林立して、大気汚染の代名詞のようなものでした。しかし、この論文に添付された、北九州市公害対策局の大気汚染データでは、調査の12年間に、二酸化窒素は横ばい、亜硫酸ガスは8分の1、煤塵降下量が4分の1と大幅に改善されています。ですから大気汚染は、小児ぜんそくを増加させた原因にはなっていないのです。
さらに、もともと大気汚染がそれほど深刻でないはずの、離島からの報告もあります。

全島の小中学生6067人を対象に調査を行った。気管支ぜんそくと診断されたことのあるものは、小学生10.2%、中学生7.1%だった。そのうち90%が、就学前に発症していた。離島の対馬においても気管支ぜんそくの頻度は高く、全国の傾向に近かった。
(岩崎郁美 上対馬病院小児科 飯倉洋治 国立小児病院アレルギー科 
日本アレルギー 学会誌 V.43-2-2 P.413 1994)


ほとんどが就学前に発症しているこの疾患で、中学生が 7.1%であるのに対し、中学生よりも平均して4年から5年あとに生まれた小学生が、4割も多い 10.2%になっているということは、対馬において、乳幼児たちに気管支ぜんそくが急増しつつあることを示しています。
対馬には工場や自動車による大気汚染はありませんから、専門家は家の構造とか、花粉とか、アトピー素因とか、子供の塾通いとか、さまざまな推測をしていますが決め手はありません。しかしここに、専門家が見落としている、歴然たる事実があります。それは、現代日本のこの30年間における、都会にも農村にも沖縄や離島にも共通して起こってきた、水洗トイレ、家風呂、シャワー、エアコン、乗用車などの普及による水道水需要の急増と、それに伴う塩素投入量の急増です。

2−7 塩素を除去した効果

水道水の塩素に触れないように暮らしていると、どんな効果が得られるかについては、「温泉療法」あるいは「水療法」の実績があります。参考になる書物として、

「アトピー性皮ふ炎の治し方がわかる本」 小川秀夫 日本オムバス かんき出版
「アトピー・脱ステロイドへの道」    鶴町和道 鶴町皮ふ科   文理書院
「アトピー性皮ふ炎の温泉・水治療」   野口順一 盛岡市上田病院  光雲社

などがあります。

これらの人々はいずれも浴用水に注目し、それぞれ独自の天然水を用いて治療を実践しています。小川氏は弱アルカリ性の単純温泉を宅配していますし、鶴町氏は自家のクリニックの庭に掘った井戸の水を配っていますし、野口氏は比較的酸性の強い温泉で湯治を指導していますが、それらの湯の物理的な共通項は、水道水のような塩素が含まれていないということです。いずれの方法も好成績を上げており、その他の実践例も含めれば、「塩素に触れない入浴療法」による改善例は、すでに全国で数万人に達しているでしょう。もちろん、熱源を遠ざけたらそれでヤケドが治る、という単純なものではないように、細菌やウィルス感染、ステロイドの重い後遺症などが生じている場合は、これだけではなかなか改善を見ない例があることも報告されています。しかしそれでも、塩素に触れないように暮らすことが、アトピー性皮ふ炎の治療にきわめて有効であることは、いまや疑問の余地なく実証されています。
「婦人の友1997年3月号」に、「井戸を掘る」という、東京の母親の手記が載っていますので、要約してご紹介しましょう。

娘は、生後すぐから肌がカサカサしており、皮ふ科医にアトピー性皮ふ炎の可能性が高いと言われ、非ステロイド系の薬をもらって塗っていましたが、よくなりませんでした。たまごの黄身と白身のアレルギーはどちらも陰性でした。その後、皮ふ科でステロイドを処方されましたが、よくなりませんでした。ところが、1才半のとき、田舎の両親が子供たちを山中湖につれていってくれて、5日ほどして帰ってきた娘の肌は、ゆで卵をむいたようにツルツルになっていました。これは東京の水道水のせいかも知れないと思い、近所の銭湯で聞くと、そこは井戸水で、浴槽には塩素を入れているが上がり湯には入れていないとのこと、さっそく娘を連れて銭湯にゆき、上がり湯だけを使っていたら1ヶ月半で、だいぶよくなりました。結局自宅に井戸を掘って、風呂の湯を井戸水に変えたら、それから5ヶ月で、娘のアトピーはほとんど治って、夜もぐっすり眠るようになりました。(婦人の友1997年3月号 「井戸を掘る」)


筆者自身も、この5年来のアトピー問題解決のための実践活動の中で、多くの人々に、塩素に触れない暮らしの大切さをアドバイスしてきました。それは、温泉であったり、24時間風呂であったり、塩素中和入浴剤であったり、脱塩素シャワーであったりしましたが、いずれもアトピー性皮ふ炎の症状を改善するのに著しい効果がありました。






大国様の言うとおり
きれいな水に身を洗い
蒲の穂綿にくるまれば
ウサギはもとの白兎




たとえば、筆者が1993年の8月に出会った7才の少女の場合は、近所の皮ふ科医にかかってステロイドを処方されており、ステロイドの「作用」によって、顔が丸く赤みを帯びて、熱を帯びるようになってきていました(これを医者はステロイドの「副作用」と呼び、ムーンフェイスと名前を付けています)。そこで薬害を恐れた母親が、医者を断ってステロイドをやめさせたところ、それからしばらくは、顔から体液がにじみ出すなど、ステロイドのリバウンドが続きました。これは後述するように(P72)、皮ふ科主流派には「見るも哀れ」にしか見えない状態ですから、ここで皮ふ科医に行くと、再びステロイドで「糊塗」されることになります。この状態で親子で鳥取の実家に帰り、「因幡の白兎」の伝説の白兎海岸にほど近い温泉で入浴していた時に、たまたまそこで温泉の調査をしていた筆者と出会いました。そこで筆者は、「水道水の塩素を避けること、ここの温泉の湯は身体に負担がないので、これを自宅まで定期的に運んで入浴していれば良くなるでしょう」とアドバイスをしたところ、親子はそれに従いました。すると、リバウンドの状態も1ヶ月ほどで収まり、9月には元気で運動会に出られるようになり、その後も塩素に触れないように暮らしていると、11月には、ほとんど分からないほどきれいになりました。
ほかにもいろいろな入浴法が提案されており、たとえばニンニクエキス入浴剤とか、ウーロン茶を入れる、ルイボスティというお茶の葉を入れる、米ヌカを入れるなどですが、いずれの方法も、それらの物質が持つタンパク質やビタミンCによって、塩素が無害化されているという背景があります。塩素はタンパク質やビタミンCを壊しますが、それは、タンパク質やビタミンCによって「塩素が壊される」ことでもあるのです。
いまだに多くの医者が、アトピー性皮ふ炎に対する温泉などの効果を無視し、あるいは、心理的なものにすぎないと軽視しています。しかし、様々な入浴療法の成功の背後には、塩素に触れないようになったという科学的事実があるのです。


2−8 合成界面活性剤の恐ろしさ

塩素に次いで、アトピー性皮ふ炎の原因として疑われる物質は、合成界面活性剤です。

合成界面活性剤とは何か

水と油は、互いにその境界面がはじき合って混ざり合いません。境界面を活性化することによって、このはじき合う力(界面張力)を失わせ、本来なじまないものをなじませる作用をもつ物質を、界面活性剤といいます。界面活性剤は、「せっけん」と「合成界面活性剤」に分けることができ、洗剤の中で「合成界面活性剤」を含むものを合成洗剤と呼びます。
せっけんの化学名は、「脂肪酸ナトリウム」と「脂肪酸カリウム」の2つです。これに対して合成界面活性剤の化学名にはいろいろあってややこしいのですが、商品の裏側に成分として、アルキルエーテル、ポリオキシエチレン、ラウリルエーテル、などの長くて難しい名前やカタカナばかりの記述が書いてあれば、それは合成界面活性剤です。気をつけなければならないのは、合成界面活性剤は石油からだけではなく、ヤシ油やトウモロコシ油など天然の植物素材からも作られていることです。素材が天然油脂だから合成洗剤ではないということではないのです。(石油も天然油脂のひとつと言えます)
合成界面活性剤を含む品には、洗濯洗剤、台所洗剤、シャンプー、ボディシャンプー、ベビーシャンプー、リンス、歯磨き剤、シェービングクリーム、化粧品などがあります。ただし、シャンプーなどには合成界面活性剤の表示が義務づけられていないので、何も表示されていないことがあります。シャンプーなどは、特に「せっけん」(脂肪酸ナトリウムあるいは脂肪酸カリウム)の表示がなければ、合成界面活性剤を使用していると考えてよいでしょう。また、ベビーせっけんという呼称で合成界面活性剤を含んでいる商品もありますから、注意が必要です。

せっけん せっけん洗剤/せっけんシャンプー   など
合成界面活性剤 洗濯洗剤/台所洗剤/合成シャンプー   など

合成界面活性剤の怖さ


健康な髪の毛の表面


合成シャンプーで洗い続けてきた
20才の女性の髪の毛の表面。
髪の表皮細胞(キューティクル)
が完全に破壊されている

皮ふをはぎとり侵入する
人間の皮ふは、どんな物質も簡単には入り込めないように、防御機構が出来ています。しかし合成界面活性剤だけは特別で、皮ふからどんどん侵入してしまいます。皮ふ表面の皮脂膜をはぎ取り、細胞と細胞とのすき間を広げ、細胞膜を溶かして細胞を破壊します。これが、皮ふ障害、肌荒れ、ひび割れです。そして、皮ふの防御機構が壊れると、合成界面活性剤はさらに深く皮下に侵入し、皮下組織を破壊し、血管壁を破壊し、血液の中に侵入してゆきます。

恐るべき残留性
合成界面活性剤が恐ろしいのは、それがいつまでも分解されないことです。せっけんは1日以内に分解されますが、合成界面活性剤は何週間も分解されず界面活性作用を持ち続けるため、血液の中に侵入したあと内臓に対しても同じ働きを及ぼし始めるのです。洗濯物の繊維の間に残った合成界面活性剤は、乾いた後でも分解せず、それを着ればやがて汗や湿気で再び溶けて、皮ふから侵入してくるのです。

(坂下栄 三重大学医学部 「合成洗剤 恐怖の生体実験」メタモル出版 1992)



合成洗剤による障害の実例

また、坂下氏はこの本で、合成界面活性剤の毒性を示す実例を、多数紹介しています。合成シャンプーをたった1回背中に塗られたラットが、真皮ごと毛がはがれ、背中に塗られたにもかかわらず腹部から出血して死んでいったこと、合成洗剤の水溶液の中でメダカが、眼球が溶け、エラがぼろぼろになって数分で死んだこと、一方、せっけんで同じ実験をしても、このようなことはまったく起こらなかったこと、などが写真とともに報告されています。
また、毎日、合成シャンプーで洗髪している20才の女性の髪は、毛が細く、キューティクルがぼろぼろにはがれていること、一方で、せっけんシャンプーに替えて15年になる40才の女性の髪は、毛が太く、キューティクルも美しいことが顕微鏡写真で示されています。坂下氏は、合成シャンプーでぼろぼろになった髪を、「ほら、サラサラです」とメーカーは宣伝し、利用者も錯覚しているが、それはシャンプーの中に入れたコーティング剤によって髪に一時的な被膜を作り、ニセのサラサラを演出しているのだ、と指摘しています。

合成洗剤の恐ろしさ、有害性は、心ある科学者、専門家、消費者団体によってこれまで何度も指摘され続けてきたことです。また毎日、台所用洗剤、洗濯用洗剤に接している主婦ならば、合成洗剤が危ないことに体験的に気づいている人も多いはずで、合成洗剤を使わぬようにしてきた人もたくさんいるでしょう。しかしそれでも合成洗剤がこれほどまでに私たちの生活と切り離せないものになってしまったのは、ひっきりなしに流されるテレビのCMで、合成洗剤の便利さと安全性だけは強調されるのに、その裏に潜む恐ろしい事実はいっこうに知らされていないためです。
(坂下栄 三重大学医学部 「合成洗剤 恐怖の生体実験」メタモル出版 1992)


また、人間の健康だけでなく、合成界面活性剤は生物に対する毒性と、その毒性がなかなか消滅しないことで、その排水が環境汚染の大きな原因となっています。

石けん

合成洗剤

合 計

1955

 28

  2

30万トン

1960

 35

  6

41

1965

 18

  34

52

1970

 15

  68

83

1975

 14

  77

91

1980

 20

  89

109  

1988

 18

  87

105

合成洗剤の増加

右の図は、わが国のせっけんと合成洗剤(黒い部分)の生産量の推移です。
合成洗剤は1950年代から生産されており、したがって1933年に認知されたアトピー性皮ふ炎の原因ではあり得ません。しかしこの増加ぶりは、水道水の塩素の増加曲線と同様、わが国におけるアトピー性皮ふ炎の増加に10年ほどずつ先行してきた「指標」のように見えなくもありません。
合成界面活性剤の毒性は明らかですし、いわゆる「主婦湿疹」や「若はげ」の急増など、合成洗剤や合成シャンプーの影響と考えられる現象も進行しています。
現在わが国でアトピー性皮ふ炎と診断されている皮ふ炎の中には、1933年当時とは異なる「合成界面活性剤皮ふ炎」が、かなりの割合で含まれているのではないかと考えられます。
実際、坂下氏は合成洗剤を「現代日本における」アトピー性皮ふ炎の原因と考えており、アレルギーのテストで合成洗剤に反応する人がたくさん見つかること、合成洗剤をやめてせっけんに替えることで、アトピー性皮ふ炎の症状が著しく改善されることを、同書で報告しています。これについては、他にも興味深い体験が報告されています。

私自身も1965年ごろから、毎年赤い湿疹ができて悩まされていました。その原因が当社のドル箱の合成洗剤と知ったときはショックでした。もはや悪いと分かった商品を売るわけにはいきません。そして1974年、人や環境にやさしい無添加せっけんの製造販売に切り替えたのです。正直いって強力な宣伝力に支えられた合成洗剤や、香料、添加物だらけの化粧せっけんの方が消費者受けするので、悪戦苦闘の連続でした。
(シャボン玉せっけん株式会社 森田光徳氏 同社カタログ 1996)


シャボン玉せっけん(株)は、北九州市で無添加のせっけんを作っているメーカーです。前のグラフを見れば、1974年という時点で、自社製品を花形の合成洗剤から単なるせっけんに切り替えることの、経営上の困難さは明らかです。しかし氏の決断は正しいものでした。氏はその後、湿疹に悩まされることがなくなったからです。
しかし、合成界面活性剤という明白な「皮ふ毒」に対して、皮ふ科医は無頓着です。

洗剤はごくふつうの合成洗剤で問題ありませんが、入れすぎると完全に溶けきらず、洗濯物についたまま残ってしまいます。これがアトピー性皮ふ炎の肌に触れると、肌を刺激し脂分をとってしまって、肌をますます乾燥させてしまうのです。
お風呂の注意としては、せっけんできれいに洗い、そのあとでせっけんをよく洗い流すことです。シャワーなどでていねいに流すようにしましょう。お風呂に入ったら、必ずシャンプーをする習慣をつけさせることです。
普通に市販されているシャンプーでいいでしょう。すこしだけ注意してほしいのは、必要以上に使いすぎないことです。また、シャンプーのあとはきれいに洗い流してください。 (溝口昌子 聖マリアンナ医大皮ふ科 「アトピーがほんとうにわかる本」 ゴマブックス 1993)


坂下栄氏は何年にもわたって実験し、証拠をあげて合成洗剤の危険性を指摘しています。森田氏は、合成洗剤の有害性に気づいた時から、社運をかけて「せっけん運動」を展開しています。そして両者とも合成洗剤を、「現代日本のアトピー性皮ふ炎」の主因と考えて、使用している合成洗剤やシャンプーをせっけんに替えるようにアドバイスして、アトピー性皮ふ炎で悩む多くの人々の症状を改善させています。
他方、溝口氏に限らずほとんどの臨床医は、せっけんと合成洗剤との違いについてまったく無頓着で、何の証拠も示さないまま、「どっちでもいい、洗い流せばいい」と指導しています。溝口氏のこの文章は、氏には、せっけんと合成洗剤とは違う物質であるという知識も、合成洗剤の生命活動に対する毒性は、せっけんとは決定的に違うものだという認識もないことを示しています。
合成洗剤をかけるとゴキブリはあっというまに死にます。一方、無添加のせっけんはネズミがかじります。「皮ふ細胞」に限らずあらゆる生命体にとって、この差は非常に大きいものです。洗い流せばよいという気楽な話ではありません。

町行く日本の多くの若者たちの、皮ふの疲労度はかなりのものです。それは、顔色のツヤのなさ、首からノドにかけての老人のようなシワの深さ、ヒジの内側の皮ふのカサつき、膝の裏側の黒ずんだ色素沈着、などに見られます。幼い頃からの、塩素と合成洗剤の継続的な刺激によって、皮ふの弾力が失われ、何万回もの屈伸に耐えられず、皮ふは若くしてすでに「ヘタって」しまっているようです。そして、そこには何らかの薬剤、たとえばステロイド剤が塗られているのかも知れません。憂慮すべき事態です。
「アトピー体質論」を唱える臨床医たちは、このような全体状況にさえ気づこうとしません。これもまた、憂慮すべきことと言わねばなりません。

2−9 その他の化学物質

化学物質過敏症

合成界面活性剤以外にも、現代ではさまざまな化学物質が大量に生産され、私たちのまわりにあふれています。農薬や殺虫剤、食品添加物、化学繊維、プラスチック製品、新建材など、主として石油から作られた大量の品々や、それらの廃棄物を燃やした煙などです。その量がどのくらい増えたかというと、1945年のアメリカの化学物質の生産量はわずか800万トンだったものが、1985年には1100億トン、なんと1万4千倍にもなっているのです。このような化学物質の氾濫に伴い、最近、「化学物質過敏症」と呼ばれる、一連の症候群が注目されてきています。それは以下のような病気です。

化学物質に比較的長期、大量に接触したのち、ある時期、今度は急にきわめて微量の化学物質に接触しただけで、頭痛や全身倦怠感、集中力の低下などの不定愁訴といってよい症状が出現してくることがあります。これが皮ふに出ると、湿疹やじんましん、かゆみ、紅斑、多汗、蒼白、光過敏などを起こすことがあります。
(石川哲 宮田幹夫 北里大学眼科「あなたも化学物質過敏症?」 農文協 1993)


これは原理的にアトピー性皮ふ炎ではありません。なぜなら、アトピー性皮ふ炎は1933年にすでに存在していた物質によって起きる皮ふ炎だからです。しかし、もし上記のようにして「奇妙な皮ふ炎」が起きた場合、わが国の皮ふ科医がそれをアトピー性皮ふ炎と診断する可能性は、かなり高いでしょう。そしてステロイドが処方され、それはしだいにステロイド皮ふ症へと移行とします。こういうわけで、さまざまな化学物質による皮ふ炎や、化学物質過敏症もまた、わが国における「アトピー性皮ふ炎」の一部を構成しているのです。
あるいはまた、アトピー性皮ふ炎の人ほど、皮ふが損傷しているために過敏症になりやすいと思われますので、アトピー性皮ふ炎になったあとで、何らかの化学物質に対して化学物質過敏症になる、というケースも多いのではないかと思われます。こうなると、アトピー性皮ふ炎と化学物質過敏症とは完全にオーバーラップしてきますから、区別がつかなくなります。

ダイオキシン

最近、特に話題になっているのはダイオキシンです。各地のゴミ焼却場からの排煙の中にたくさん含まれていますし、野焼きやさまざまのゴミ焼き排煙にも含まれ、それは地上や海に降り注いで、魚や農作物や水に入って、最後は人体にたどりつきます。また、最近の知見では、一部の農薬にもダイオキシンのような作用をする物質が含まれていて、それはすでに日本の農地に大量に散布されたということです。
ダイオキシンがアトピー性皮ふ炎を悪化させることは、埼玉県所沢市などでの体験例で確認されています。また、ダイオキシンは、それ単独で皮ふ炎を起こす力を持っています。しかし、アトピー性皮ふ炎に限って言えば、先述したように、ダイオキシンもまた1933年にはほとんど存在していなかったという理由で、その原因物質ではありません。
ただしダイオキシンは、アトピー性皮ふ炎だけの問題ではなく、生命や遺伝子を破壊する致命的なものとして、私たちの生存を脅かしています。そしてそれは、個人的に避けることはできませんから、私たちの生活そのものを根本的に見直す、大きな社会運動として取り組む必要があります。

食品添加物、残留農薬などの化学物質

これは、次章で述べるアトピー性皮ふ炎の「内因」とも関連しますが、多くの若者たちは、残留農薬、ポストハーベストの殺虫剤、保存料、化学調味料、さまざまな食品添加物、などを、スナック菓子やファストフードのハンバーガーや、コンビニで買うレトルト食品やサンドイッチなどから、日常的に大量に取り込み、さらに、風邪薬や強壮ドリンクなどの薬物を常飲しています。さらにその上、食生活や生活リズムの乱れによって、多くの若者たちが、小学生さえ含めて便秘になっています。ですから、現代日本の若者たちの多くは、取り入れた毒素を長期間、体内に保持することになっています。
結局それらの毒物は、皮ふから出てきます。それはひと昔前の、「ニキビは青春のシンボル」といった、のんきで平和なものではありません。そしてそこには、TVコマーシャルに乗って大量に市販されている、ステロイドを含有した肌荒れの薬とか、かゆみ止めの薬などが塗られます。
この状況は、現代日本の、利のみ追い求める社会のシステムが生み出したものです。このように暮らしている若者たちの皮ふが、ある日突然かゆくなり、そこにステロイドが処方され、やがて「アトピー性皮ふ炎」と診断されることは、十分にあり得ることであり、現に起きていることでもあるでしょう。しかしこれはダイオキシンとは違って、それに気づきさえすれば、個人レベルで防ぐことができます。ぜひ、気づいてほしいものです。